秀子さんへの手紙4

2024.11.25

秀子さんへの手紙4

おはよう。早いものだね。今日で入院5日目だよ。昨日は面会ができた。

君の顔を土、日と見てなく、 2日ぶりに見たのだが、長いこと見ていないような気がしていた。まだ2日しか経っていなかったのに。君の姿が私の目の前から消えてしまうと、1日でもものすごく長く感じるのだと気がついた。 それだけ君の存在は私にとって大きいのだ。早く戻ってきてほしい。

昨日の面会時間は16時20分。余裕をもって日赤に着いた。16時に着いた。ちょっと早かった。早かったので1階で待機した。 時間が16時15分になったので、3階に上がった。 受付表を書き、16時17分まで提出するのを待った。

17分になったので、3分前なら看護師さん呼んでいいかと思い、呼び鈴を押した。 なかなか君は現れなかった。もう私の胸はドキドキドキ高鳴った。どんな顔で現れるだろうか。 やせ細って骨川スジエモンになってしまっているだろうか。一年前の入院した時のようにゲッソリ痩せてしまっているのだろうか。

私のことをもう忘れてしまっているだろうか。いろんな思いが駆けめぐっている時、君がベッドで運ばれてきた 君の顔だった。私の顔からはもう涙しか出なかった。「痛い?大丈夫?ごめんね。」こんな言葉しかかけられなかった。私の手が君の頬を撫でた。 君の表情はだんだん前と同じ優しい表情になっていった。

君の表情に笑顔が戻った。「早く帰ってきてね。食事はちゃんと食べている?痛くない?コルセットをはめれば立てるかな?」いろんな問いかけに、君はきちんと答えてくれた。 普段も君は物静かな女性だ。決して無駄口は叩かない。でしゃばらない。 そんな君を好きになって、君一筋にもう40年も経ったのだ。

いい夫婦だと私は思う。こんな夫婦はいないと私は誇りに思っている。秀子に出会えてよかった。敬くんや 暁代といういい子供たちにも恵まれた。

いい子供たちは2人とも外国で暮らす。もう私たちは2人だけになってしまった。でも頑張ろうね。私たちの晩年は2人だけだ。いいじゃないか。静かに暮らそう。私はまだ仕事を持っているが、秀子最優先の中での仕事だ。

365日大学をスタートして4年。私はこの大学の新たな価値が見えてきた。

この価値を世に問いたい。私にはまだそんな大きな夢があるが、そこを君と一緒にやる。君が欠かせない。脳出血になって君と始めた新しい生活は、私にたくさんのチャンスをくれた。 シニアの今後の生き方のノウハウを教えてくれた。

万人幸福の栞 第14条「心即太陽」(希望は心の太陽である)

一時の苦しみ、しばしの痛み、それはさらに大きく健康に進み高まるためのしばしの暗がりである。これが去った時、夜明けのような光明の舞台が開ける。 」

この文言通りだと思う。秀子と私たちに大きな光明の舞台が待っているのだ。早く回復してね。待っているから。 そして、この大きな光明の舞台がどんな舞台なのか2人で演じよう。2人で演じるとこに意味がある。2人でなければダメだ。

君との面会時間は10分ということだった。しかし、ありがたいことに看護師さんが「終わりです」と君を迎えに来た時は 16時50分になっていた。30分も君と一緒にいられたのだ。

敬君と暁代に君の写真送るから笑顔作ってね。 と君に笑顔を要求した。

笑顔を作るのに、私たち夫婦には面白い会話がある。「うんこ」の話だ。

「今日は両手盛り。それともバナナ2本。」こんな会話をいつもしている夫婦ってあんまりないよね。それだけ私たちはお互いを信頼し、お互いに寄り添って生きている証拠。「うんこ」の話になって、君はどっと笑い、とてもいい写真が撮れた。 子供たちに送った。2人とも「いい笑顔だね。元気そうに見えます。」と返信きたよ。

あと10日間で退院できるかもしれない。10日などあっという間に来るよ。面会時間も10分ばかりでなく、結構長く取れるということもわかった。

病院側の制限の中、少しでも賢くやろう。 今日の面会時間は15時20分。この時間には来るから待っていてね。今日はどんな顔して出てくるか楽しみだ。

ニベアはつけてね。顔がガサガサしては美人の秀子が台無しだ。

では、午後まで待っていてね。この手紙は午前中に届けます。

秀子いつも一緒だよ。頑張るぞ。

令和6年6月11日(火)5時7分

秀一

この記事のURLとタイトルをコピーする

この記事をシェアする

フォローする