「姨捨の田毎の月に何おもふ」 

2025.05.20

「姨捨の田毎の月に何おもふ」 

田植えのシーズンがやってくる。365日大学が耕作している田んぼは南長野運動公園の近くにある。
一反半の少し大きめの月。平たん地にある田んぼなので水面に浮かぶ月は1つ。 

姨捨山の田んぼはどうだろう。山際なので田植えの準備は平地より早く、今水面の水はもう張られているだろうか。 

棚田の田んぼだ。田んぼの大きさによって波風が一面一面違い水面には百面相の月が映っているのだろうか。 

「おば捨て山」の昔話を思い出す。貧しい農家にとって、年終えた農作業ができない老婆は食いぶち荒らしの存在でしかなく、
山奥に捨てざるを得ない。孝行息子は老婆を背負い、泣き泣き、山に捨てていく。察した老婆は、息子が帰り道、
道に迷わないように枝を折って安全に帰れるよう「道しるべ」を作ってあげる。 

「栞」はそれがしの由来とも聞く。 

静かな夕方、縁側に佇んで思いを巡らした。 

できた一句。 

「姨捨の田毎の月に何思う」 

いろんな思いが交差する夕方だった。

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